《古事記物語》

垂仁天皇

所属:天皇家 · 身分:天皇 · 初登場:おしの皇子・その一

垂仁天皇は崇神天皇のあとを継いで即位し、沙本媛を皇后に迎えて大和の玉垣の宮に移った。やがて沙本媛は、兄の沙本毘古王と天皇を殺す企みを白状し、その兄のとりでで本牟智別王を産んだ。生まれた皇子をとりでの外へ出し、天皇に養育を頼んだが、天皇はとりでを攻め落として沙本毘古王を殺し、沙本媛も火の中に飛びこんで亡くなった。皇子は天皇に引き取られ、〈本牟智別王〉と名づけられた。

その後、天皇は本牟智別王を船に乗せて遊ばせた。ある晩、夢で社を造り直せば王が口をきけるようになるとのお告げを聞き、曙立王と兎上王を皇子に付き添わせて出雲へ遣わした。さらに兎上王を出雲へ送り、大神の社を造営させた。また丹波では、兄媛と弟媛を召し抱え、円野媛ら二人を帰した。

ある年、天皇は多遅摩毛理に、常世国から香り高いたちばなの実を取ってくるよう命じた。多遅摩毛理が帰る前に天皇は亡くなり、帰還した多遅摩毛理は実を天皇のそばに仕えていた兄媛に捧げ、残りを天皇の墓に供えた。

関係の記録

生涯の出来事

  • 垂仁天皇が崇神天皇のあとを継いで即位した。(おしの皇子・その一)
    • 同席:崇神天皇
    • 〈崇神天皇のおあとには、お子さまの垂仁天皇がお位をお継ぎになりました。〉
  • 垂仁天皇は沙本媛を皇后に迎え、玉垣の宮に移った。(おしの皇子・その一 · 📍 大和の玉垣の宮)
    • 同席:沙本媛
    • 〈天皇は、沙本毘古王という方のお妹さまで沙本媛とおっしゃる方を皇后にお召しになって、大和の玉垣の宮にお移りになりました。〉
  • 沙本媛は沙本毘古王と天皇を殺す企みを白状した。(おしの皇子・その一)
    • 同席:沙本媛 沙本毘古王
    • 〈おあにいさまとお二人のおそれ多いたくらみをすっかり白状しておしまいになりました。〉
  • 沙本媛はとりでで本牟智別王を生んだ。(おしの皇子・その一)
    • 同席:沙本媛 本牟智別王
    • 〈皇后はおあにいさまのとりでの中で皇子をお生みおとしになりました。〉
  • 沙本媛は本牟智別王をとりでの外へ出し、天皇に養育を頼んだ。(おしの皇子・その一)
    • 同席:沙本媛 本牟智別王
    • 〈皇后はそのお子さまをとりでのそとへ出させて、天皇の軍勢の者にお見せになり、 「この御子をあなたのお子さまとおぼしめしてくださるならば、どうぞひきとってご養育なすってくださいまし」と、天皇にお伝えさせになりました。〉
  • 天皇は宮中の玉飾りの細工人たちの知行地を取り上げた。(おしの皇子・その一)
    • 〈天皇はそのために、宮中の玉飾りの細工人たちまでお憎みになって、それらの人々が知行にいただいていた土地を、いきなり残らず取りあげておしまいになりました。〉
  • 天皇は皇子を本牟智別王と名づけた。(おしの皇子・その一)
    • 同席:本牟智別王
    • 〈あの御子は、ちょうどとりでが火をかけられて焼けるさいちゅうに、その火の中でお生まれになったのでございますから、本牟智別王とお呼び申したらよろしゅうございましょう〉
  • 垂仁天皇はとりでを攻め落として沙本毘古王を殺し、沙本媛も火に飛びこんで死んだ。(おしの皇子・その一)
    • 同席:沙本毘古王 沙本媛
    • 〈天皇はもういよいよしかたなしに、一気にとりでを攻め落として、沙本毘古を殺させておしまいになりました。 皇后も、それといっしょに、えんえんと燃えあがる火の中に飛びこんでおしまいになりました。〉
  • 天皇は本牟智別王を船に乗せて遊ばせた。(おしの皇子・その二 · 📍 市師の池)
    • 同席:本牟智別王
    • 〈その中へごいっしょにお乗りになって、皇子をお遊ばせになりました。〉
  • 天皇は夢で、社を造り直せば王の口がきけるとのお告げを聞いた。(おしの皇子・その二)
    • 同席:本牟智別王
    • 〈「私のお社を天皇のお宮のとおりにりっぱに作り直して下さるなら王は必ず口がきけるようにおなりになる」と、こういうお告げをお聞きになりました。〉
  • 天皇は曙立王と兎上王を本牟智別王に付き添わせ、出雲へ遣わした。(おしの皇子・その二 · 📍 出雲)
    • 同席:本牟智別王 曙立王 兎上王
    • 〈天皇はすぐに曙立王と兎上王との二人を本牟智別王につけて、出雲へおつかわしになりました。〉
  • 天皇は兎上王を出雲へ遣わし、大神の社を造営させた。(おしの皇子・その二 · 📍 出雲)
    • 同席:兎上王
    • 〈そしてすぐに兎上王をまた再び出雲へおくだしになって、大神のお社をりっぱにご造営になりました。〉
  • 天皇は兄媛と弟媛を召し抱え、円野媛ら二人を帰した。(おしの皇子・その二 · 📍 丹波)
  • 天皇は多遅摩毛理に常世国からたちばなの実を取って来るよう命じた。(おしの皇子・その二 · 📍 常世国)
    • 同席:多遅摩毛理
    • 〈それから天皇はある年、多遅摩毛理という者に、常世国へ行って、香の高いたちばなの実を取って来いとおおせつけになりました。〉
  • 多遅摩毛理が帰る前に天皇は亡くなった。(おしの皇子・その二)
    • 同席:多遅摩毛理
    • 〈しかし天皇はその前に、もうとっくにおかくれになっていました。〉

おしの皇子・その一

  • 親:崇神天皇 〈崇神天皇のおあとには、お子さまの垂仁天皇がお位をお継ぎになりました。〉
  • 沙本媛と夫婦 〈天皇は、沙本毘古王という方のお妹さまで沙本媛とおっしゃる方を皇后にお召しになって、大和の玉垣の宮にお移りになりました。〉
  • 沙本毘古王と敵対 〈天皇はそれをお聞きになると、びっくりなすって、「いやそれは危くばかな目を見るところであった」とおっしゃりながら、すぐに軍勢をお集めになって、沙本毘古を討ちとりにおつかわしになりました。〉
  • 子:本牟智別王 〈皇后はそのお子さまをとりでのそとへ出させて、天皇の軍勢の者にお見せになり、 「この御子をあなたのお子さまとおぼしめしてくださるならば、どうぞひきとってご養育なすってくださいまし」と、天皇にお伝えさせになりました。〉
  • 養い子:本牟智別王 〈「この御子をあなたのお子さまとおぼしめしてくださるならば、どうぞひきとってご養育なすってくださいまし」と、天皇にお伝えさせになりました。〉

おしの皇子・その二

  • 臣:山辺大鷹 〈天皇は、さっそく、山辺大鷹という者に、 「あの鳥をとって来てみよ」とおいいつけになりました。〉
  • 臣:曙立王 〈天皇は、その曙立王にお言いつけになって、なお念のために、うかがいのお祈りを立てさせてごらんになりました。〉
  • 臣:兎上王 〈天皇はすぐに曙立王と兎上王との二人を本牟智別王につけて、出雲へおつかわしになりました。〉
  • 臣:多遅摩毛理 〈それから天皇はある年、多遅摩毛理という者に、常世国へ行って、香の高いたちばなの実を取って来いとおおせつけになりました。〉
  • 従者:兄媛(道能宇斯王の娘) 〈多遅摩毛理はそのことを承ると、それはそれはがっかりして、葉つきの実を四つと、葉のないのを四つとを、天皇のおそばにお仕え申していた兄媛にさしあげたうえ、あとの四つずつを天皇のお墓にお供え申しました。〉

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