雄略天皇
別名:大長谷皇子 · 所属:天皇家 · 身分:天皇 · 初登場:しかの群、ししの群
安康天皇が殺されたと聞いたとき、まだ童髪の少年だった大長谷皇子は、兄の黒日子王に知らせた。兄が動じないのを見ると怒り、〈刀を抜くなり、一打ちに打ち殺しておしまいになりました〉。さらに兄の白日子王も小治田まで連れていき、穴に立たせて生き埋めにした。
その後、大長谷皇子は目弱王をかくまう都夫良意富美の邸を囲んだ。都夫良意富美は目弱王を刺し、自らも命を絶った。また、いとこの忍歯王と近江へ下った折には、すきまをねらって矢で射落とし、遺体を刻んで埋めた。安康天皇は生前、大長谷皇子のために大日下王の妹の若日下王を妻に迎えようと、根臣を大日下王のもとへ遣わしていた。
やがて大長谷皇子は雄略天皇として即位し、大和の朝倉宮に移った。皇后には若日下王を立て、帰途には彼女を慕う歌を詠んで送った。伊勢生まれの女官三重采女が酒を注いだ折には、歌に免じてその罪を許した。雄略天皇は〈おん年百二十四歳でおかくれになりました〉。そのあとには、子の清寧天皇が立った。
関係の記録
生涯の出来事
- 大長谷皇子は黒日子王を打ち殺した。(しかの群、ししの群)
- 同席:黒日子王
- 〈いきなりえりもとをひッつかんでひきずり出し、刀を抜くなり、一打ちに打ち殺しておしまいになりました。〉
- 大長谷皇子は白日子王を生き埋めにした。(しかの群、ししの群 · 📍 小治田)
- 同席:白日子王
- 〈そしてそこへ穴を掘って、その中へまっすぐに立たせたまま、生き埋めに埋めておしまいになりました。〉
- 都夫良意富美は目弱王を刺し、自らも死んだ。(しかの群、ししの群)
- 大長谷皇子は忍歯王を射落とし、埋めた。(しかの群、ししの群 · 📍 蚊屋野)
- 同席:忍歯王
- 〈そのうちに皇子はすきまをねらって、さっと矢をおつがえになり、罪もない忍歯王を、だしぬけに射落としておしまいになりました。そして、なお飽き足らずに、そのおからだをずたずたに切り刻んで、それをうまの飼葉を入れるおけの中へ投げ入れて、土の中へ埋めておしまいになりました。〉
- 安康天皇は弟の大長谷皇子のために、大日下王の妹の若日下王を嫁にもらおうと、根臣を大日下王のもとへ遣わした。(しかの群、ししの群)
- 雄略天皇として即位し、朝倉宮に移った。(とんぼのお歌 · 📍 朝倉宮)
- 〈大長谷皇子は、まもなく雄略天皇としてご即位になり、大和の朝倉宮にお移りになりました。〉
- 雄略天皇は若日下王を皇后に立てた。(とんぼのお歌)
- 同席:若日下王
- 〈皇后には、例の大日下王のお妹さまの若日下王をお立てになりました。〉
- 雄略天皇は三重采女の罪を許した。(とんぼのお歌)
- 同席:三重采女
- 〈天皇はこの歌に免じて、采女の罪を許しておやりになりました。〉
- 雄略天皇は百二十四歳で亡くなった。(とんぼのお歌)
- 〈天皇はしまいに、おん年百二十四歳でおかくれになりました。〉
- 雄略天皇のあとに清寧天皇が即位した。(うし飼、うま飼)
- 同席:清寧天皇
- 〈雄略天皇のおあとには、お子さまの清寧天皇がお立ちになりました。〉
しかの群、ししの群
- 求婚の相手:若日下王 〈天皇は弟さまの大長谷皇子のために、仁徳天皇の皇子で、ちょうど大おじさまにおあたりになる大日下王とおっしゃる方のお妹さまの、若日下王という方を、お嫁にもらおうとお思いになりました。〉
- 安康天皇と兄弟 〈そのときには、弟さまの大長谷皇子は、まだ童髪をおゆいになっている一少年でおいでになりましたが、目弱王が天皇をお殺し申したとお聞きになりますと、それはそれはお憤りになって、すぐにお兄上の黒日子王のところへかけつけておいでになり、〉
- 黒日子王と兄弟 〈そのときには、弟さまの大長谷皇子は、まだ童髪をおゆいになっている一少年でおいでになりましたが、目弱王が天皇をお殺し申したとお聞きになりますと、それはそれはお憤りになって、すぐにお兄上の黒日子王のところへかけつけておいでになり、〉
- 白日子王と兄弟 〈皇子はそれからまたつぎのおあにいさまの白日子王のところへおいでになって、同じように、天皇がお殺されになったことをお告げになりました。〉
- 黒日子王と敵対 〈大長谷皇子はそれをご覧になりますと、くわッとお怒りになり、「あなたはなんという頼もしげもない人でしょう。われわれの天皇がお殺されになったのじゃありませんか。そして、それは、またあなたのおあにいさまじゃありませんか。それを平気で聞いているとは何ごとです」とおっしゃりながら、いきなりえりもとをひッつかんでひきずり出し、刀を抜くなり、一打ちに打ち殺しておしまいになりました。〉
- 白日子王と敵対 〈皇子はまたそのおあにいさまのえり首をつかんでひきずり出して、小治田という村まで引っぱっていらっしゃいました。そしてそこへ穴を掘って、その中へまっすぐに立たせたまま、生き埋めに埋めておしまいになりました。〉
- 求婚の相手:訶良媛 〈大長谷皇子は、その前から、この都夫良の娘の訶良媛という人をお嫁におもらいになることにしていらっしゃいました。〉
- 都夫良意富美と敵対 〈大長谷皇子はそれから軍勢をひきつれて、目弱王をかくまっている都夫良意富美の邸をおとり囲みになりました。〉
- 忍歯王といとこ 〈皇子は、ようし、とおっしゃって、履仲天皇の皇子で、ちょうどおいとこにおあたりになる、忍歯王とおっしゃるお方とお二人で、すぐに近江へおくだりになりました。〉
- 忍歯王と敵対 〈そのうちに皇子はすきまをねらって、さっと矢をおつがえになり、罪もない忍歯王を、だしぬけに射落としておしまいになりました。〉
- おじ・おば:大日下王 〈天皇は弟さまの大長谷皇子のために、仁徳天皇の皇子で、ちょうど大おじさまにおあたりになる大日下王とおっしゃる方のお妹さまの、若日下王という方を、お嫁にもらおうとお思いになりました。〉
とんぼのお歌
- 若日下王と夫婦 〈皇后には、例の大日下王のお妹さまの若日下王をお立てになりました。〉
- 想い人:若日下王 〈天皇はお帰りのお途中、山の上にお立ちになって、若日下王のことをお慕いになるお歌をおよみになり、それを王へお送りになりました。〉
- 臣:三重采女 〈そのとき伊勢の生まれの三重采女という女官が、天皇におさかずきを捧げて、お酒をおつぎ申しました。〉
うし飼、うま飼
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『古事記物語』の原文から抽出。Made with Rho MD。