《古事記物語》

大国主神

別名:大穴牟遅神 · 所属:神々 · 身分:須佐之男命の八代目の孫の子 · 初登場:八俣の大蛇

須佐之男命の八代目の孫の子として、大国主神、またの名を大穴牟遅神がお生まれになった。八十神という大勢のきょうだいがいたが、因幡の気多の海岸でうさぎに治し方を教えたのち、八上媛は八十神を退けて大国主神を選んだ。これを怒った八十神は伯耆の国の手間の山で焼けた石を使って大国主神を殺したが、大国主神のおかあさまが高天原に助けを求め、高皇産霊神の遣わした貝の神々が生き返らせた。八十神はさらに大国主神を木にはさんで殺したものの、おかあさまが再び生き返らせた。

おかあさまに促されて根堅国の須佐之男命のもとへ向かうと、須勢理媛はへびから身を守る比礼を渡し、火に囲まれたときも穴に隠れて難を逃れた。やがて大国主神は須勢理媛を背負って御殿を逃れ、黄泉比良坂で須佐之男命から、〈そちが国の神の頭になって、宇迦の山のふもとに御殿を立てて住め。わしのその娘はおまえのお嫁にくれてやる。〉と告げられた。八十神を討ち滅ぼし、宇迦の山に御殿を構えて須勢理媛と暮らすようになると、少名毘古那神とともに国々を開き固め、さらに大和の御諸の山では大年神をまつって、ともに国を広げた。

その後、建御雷神を通じて中つ国を大空の神の子に譲り、〈この中つ国はおおせのとおり、すっかり、大神のお子さまにさしあげます〉と言ったのち、その場で亡くなった。

関係の記録

生涯の出来事

  • 須佐之男命の八代目の孫の子として大国主神が生まれた。(八俣の大蛇)
    • 同席:須佐之男命
    • 〈その八代目のお孫さまのお子さまに、大国主神、またの名を大穴牟遅神とおっしゃるりっぱな神さまがお生まれになりました。〉
  • 大国主神の教えで、うさぎの傷が治った(むかでの室、へびの室・その一 · 📍 因幡の気多という海岸)
    • 同席:うさぎ
    • 〈大国主神は、話を聞いてかわいそうだとおぼしめして、「それでは早くあすこの川口へ行って、ま水でからだじゅうをよく洗って、そこいらにあるかばの花をむしって、それを下に敷いて寝ころんでいてごらん。そうすれば、ちゃんともとのとおりになおるから」〉
  • 八上媛は八十神を拒み、大国主神を選んだ(むかでの室、へびの室・その一 · 📍 因幡)
    • 同席:八十神 八上媛
    • 〈「いえいえ、いくらお言いになりましても、あなたがたのご自由にはなりません。私は、あそこにいらっしゃる大国主神のお嫁にしていただくのです」と申しました。〉
  • 八十神が大国主神を焼けた石で殺した(むかでの室、へびの室・その一 · 📍 伯耆の国の手間の山)
    • 同席:八十神
    • 〈そのままただれ死にに死んでおしまいになりました。〉
  • 高皇産霊神が貝の神々を遣わし、大国主神を生き返らせた(むかでの室、へびの室・その一 · 📍 高天原)
    • 同席:大国主神のおかあさま 高皇産霊神
    • 〈そうすると大国主神は、それほどの大やけどもたちまちなおって、もとのとおりの、きれいな若い神になってお起きあがりになりました。〉
  • 八十神が大国主神を木にはさんで殺した(むかでの室、へびの室・その一)
    • 同席:八十神
    • 〈ふいにポンとくさびを打ちはなして、はさみ殺しに殺してしまいました。〉
  • 大国主神のおかあさまが大国主神を生き返らせた(むかでの室、へびの室・その一)
    • 同席:大国主神のおかあさま
    • 〈そしていっしょうけんめいに介抱して、ようようのことで再びお生きかえらせになりました。〉
  • おかあさまは大国主神を須佐之男命のもとへ向かわせた(むかでの室、へびの室・その一 · 📍 根堅国)
  • 須勢理媛は比礼を渡し、大国主神をへびから守った(むかでの室、へびの室・その一)
    • 同席:須勢理媛
    • 〈それでご自分の、比礼といって、肩かけのように使うきれを、そっと大国主神におわたしになって、「もしへびがくいつきにまいりましたら、このきれを三度振って追いのけておしまいなさい」とおっしゃいました。〉
  • 須佐之男命が野原に火を放ち、大国主神は穴に隠れて助かった(むかでの室、へびの室・その一)
    • 同席:須佐之男命
    • 〈若い神は、すぐそのわけをおさとりになって、足の下を、とんときつく踏んでごらんになりますと、そこは、ちゃんと下が大きな穴になっていたので、からだごとすっぽりとその中へ落ちこみました。〉
  • 大国主神は須勢理媛を背負って御殿から逃げ出した。(むかでの室、へびの室・その二)
    • 同席:須勢理媛
    • 〈急いで須勢理媛を背なかにおぶって、そっと御殿をお逃げ出しになりました。〉
  • 須佐之男命は大国主神に国の神の頭となるよう命じ、娘を嫁にすると告げた。(むかでの室、へびの室・その二 · 📍 黄泉比良坂)
    • 同席:須佐之男命 八十神 須勢理媛
    • 〈そちが国の神の頭になって、宇迦の山のふもとに御殿を立てて住め。わしのその娘はおまえのお嫁にくれてやる。〉
  • 大国主神は八十神を討ち滅ぼした。(むかでの室、へびの室・その二)
    • 同席:八十神
    • 〈とうとう一人ももらさず亡ぼしておしまいになりました。〉
  • 大国主神は国の神の頭となり、須勢理媛と暮らした。(むかでの室、へびの室・その二 · 📍 宇迦の山)
    • 同席:須勢理媛
    • 〈そして、国の神の頭になって、宇迦の山の下に御殿をおたてになり、須勢理媛と二人で楽しくおくらしになりました。〉
  • 大国主神は少名毘古那神とともに国を開き固めることになった。(むかでの室、へびの室・その二)
    • 同席:少名毘古那神
    • 〈おまえは大国主神ときょうだいになって二人で国々を開き固めて行け〉
  • 大国主神は大年神をまつり、ともに国を広げた。(むかでの室、へびの室・その二 · 📍 大和の御諸の山)
    • 同席:大年神
    • 〈大国主神はお言葉のとおりに、そこへおまつりして、その神さまと二人でまただんだんに国を広げておゆきになりました。〉
  • 大国主神は中つ国を大空の神の子に譲った。(きじのお使い)
    • 同席:建御雷神
    • 〈この中つ国はおおせのとおり、すっかり、大神のお子さまにさしあげます〉
  • 大国主神はその場で亡くなった。(きじのお使い)
    • 〈こう言って、いさぎよくその場で死んでおしまいになりました〉

八俣の大蛇

  • 祖父母:須佐之男命(八代目の孫の子として記されている。) 〈その八代目のお孫さまのお子さまに、大国主神、またの名を大穴牟遅神とおっしゃるりっぱな神さまがお生まれになりました。〉

むかでの室、へびの室・その一

  • 八十神と兄弟 〈この大国主神には、八十神といって、何十人というほどの、おおぜいのごきょうだいがおありになりました。〉
  • 八十神と敵対 〈八十神たちはそれを聞くとたいそう怒って、みんなで大国主神を殺してしまおうという相談をきめました。〉
  • 親:大国主神のおかあさま 〈大国主神の生みのおかあさまは、それをお聞きになると、たいそうお嘆きになって、泣き泣き大空へかけのぼって、高天原においでになる、高皇産霊神にお助けをお願いになりました。〉
  • 後見人:高皇産霊神 〈すると、高皇産霊神は、蚶貝媛、蛤貝媛と名のついた、あかがいとはまぐりの二人の貝を、すぐに下界へおくだしになりました。〉
  • 想いを寄せる人:須勢理媛 〈媛は大国主神のことをほんとに美しいよい方だとすぐに大すきにお思いになりました。〉

むかでの室、へびの室・その二

  • 八十神と敵対 〈大国主神はおおせのとおりに、改めていただいた、大神の太刀と弓矢を持って、八十神たちを討ちにいらっしゃいました。〉
  • 須勢理媛と夫婦 〈そして、国の神の頭になって、宇迦の山の下に御殿をおたてになり、須勢理媛と二人で楽しくおくらしになりました。〉
  • 想いを寄せる人:八上媛 〈そのうちに例の八上媛は、大国主神をしたって、はるばるたずねて来ましたが、その大国主神には、もう須勢理媛というりっぱなお嫁さまができていたので、しおしおと、またおうちへ帰って行きました。〉
  • 少名毘古那神と兄弟 〈おまえは大国主神ときょうだいになって二人で国々を開き固めて行け〉
  • 舅:須佐之男命 〈わしのその娘はおまえのお嫁にくれてやる。わかったか〉
  • 後見人:大年神 〈私をよく大事にまつっておくれなら、いっしょになって国を作りかためてあげよう。おまえさん一人ではとてもできはしない〉

きじのお使い

  • 子:下照比売 〈大国主神の娘の下照比売をまたお嫁にもらったばかりか、〉
  • 子:八重事代主神 〈私よりも、むすこの八重事代主神が、とかくのご返事を申しあげますでございましょうが、〉
  • 子:建御名方神 〈私の子は事代主神のほかに、もう一人、建御名方神というものがおります。〉
  • 子:高日子根神 〈そうしているところへ、大国主神の子で、下照比売のおあにいさまの高日子根神がお悔みに来ました。〉

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