倭建命
別名:小碓命 · 所属:天皇家 · 身分:皇子 · 初登場:白い鳥・その一
景行天皇の皇子、小碓命は、大碓命を兄に持っていました。朝早く、かわやに入るところを待ち受けて兄を殺し、死体をこもにくるんで捨てたため、景行天皇は小碓命の荒い気性を恐れ、まもなく西の熊襲建兄弟を討つよう命じました。
小碓命は伊勢で、おば上の倭媛に別れを告げました。倭媛から上着とはかま着、懐剣を授かって西へ向かい、熊襲建の兄弟を討つと、〈これからあなたのお名まえは倭建命とお呼び申したい〉と名を与えられました。大和へ戻る途中には、出雲の国で出雲建をだまして切り殺しました。
その後、相模の国では、命を殺そうとたくらんだ国造と手下を切り殺して火をつけ、焼きました。海では、お召使の弟橘媛が身を投げて命の身代わりとなりました。酒折宮では、歌に答えた老人を東国造に任じ、東国をめぐる征伐の間は、七拳脛が料理番として供をしました。伊吹山の山の神に毒気を含んだひょうを降らされ、病を得た倭建命は、能褒野で、〈そのお歌の終わるのとともに、この世をお去りになりました。〉
命には男のお子が六人あり、その一人、帯中津日子命は後に仲哀天皇となり、成務天皇の後を継ぎました。
関係の記録
生涯の出来事
- 倭建命が熊襲建兄弟を討ち、倭建命の名を得る。(白い鳥・その一)
- 倭建命が出雲建をだまして切り殺す。(白い鳥・その一 · 📍 出雲の国)
- 同席:出雲建
- 〈たちまちその悪者を切り殺しておしまいになりました〉
- 小碓命は兄の大碓命をかわやで待ち受けて殺し、死体をこもにくるんで捨てた。(白い鳥・その一)
- 同席:大碓命
- 〈ただ朝早く、おあにいさまがかわやにはいりますところを待ち受けて、つかみくじき、手足をむしりとって、死体をこもにくるんでうッちゃりました〉
- 景行天皇は小碓命の荒い気性を恐れ、西の熊襲建きょうだいを討つよう命じた。(白い鳥・その一)
- 同席:景行天皇
- 〈そちはこれから行って、かれらを打ちとってまいれ〉
- 小碓命は伊勢でおば上の倭媛に別れを告げ、上着・はかま・懐剣を授かった。(白い鳥・その一 · 📍 伊勢)
- 同席:倭媛
- 〈するとおば上からは、ご料のお上着と、おはかま着と、懐剣とを、お別れのお印におくだしになりました〉
- 倭建命が相模の国造を切り殺した。(白い鳥・その二 · 📍 相模の国)
- 同席:相模の国造
- 〈そしていきなり、その悪い国造と、手下の者どもを、ことごとく切り殺して、火をつけて焼いておしまいになりました。〉
- 弟橘媛が海に身を投げ、倭建命の身代わりとなった。(白い鳥・その二)
- 同席:弟橘媛
- 〈大波は見るまに、たちまち媛を巻きこんでしまいました。〉
- 倭建命が老人を東国造に任じた。(白い鳥・その二 · 📍 酒折宮)
- 同席:東国造になった老人
- 〈命はその答えの歌をおほめになって、そのごほうびに、老人を東国造という役におつけになりました。〉
- 倭建命が病のため亡くなった。(白い鳥・その二 · 📍 能褒野)
- 〈そのお歌の終わるのとともに、この世をお去りになりました。〉
- 帯中津日子命が成務天皇の後を継いだ。(白い鳥・その二)
- 同席:仲哀天皇
- 〈その中の、帯中津日子命とおっしゃる方は、後にお祖父上の天皇のおつぎの成務天皇のおあとをお継ぎになりました。〉
白い鳥・その一
- 親:景行天皇 〈天皇はその中で、後におあとをお継ぎになった若帯日子命と、小碓命とおっしゃる皇子と、ほかにもう一方とだけをおそばにお止めになり〉
- おじ・おば:倭媛 〈それでまもなく命を召して、「実は西の方に熊襲建という者のきょうだいがいる。二人とも私の命令に従わない無礼なやつである。そちはこれから行って、かれらを打ちとってまいれ」とおおせになりました。それで命は、急いで伊勢におくだりになって、大神宮にお仕えになっている、おんおば上の倭媛にお別れをなさいました。〉
- 熊襲建と敵対 〈命は、みんながすっかり興に入ったころを見はからって、そっと懐から剣をお取り出しになったと思いますと、いきなり片手で兄の建のえり首をつかんで、胸のところをひと突きに突き通しておしまいになりました。〉
- 熊襲建の弟と敵対 〈弟の建はそれを見ると、あわててへやの外へ逃げ出そうとしました。〉
- 出雲建と敵対 〈命は、それから大和へおひきかえしになる途中で、いろんな山の神や川の神や、穴戸の神と称えて、方々の険阻なところにたてこもっている悪神どもを、片はしからお従えになった後、出雲の国へおまわりになって、そのあたりで幅をきかせている、出雲建という悪者をお退治になりました。〉
- 大碓命と兄弟 〈天皇はある日、弟さまの皇子の小碓命に向かって、〉
白い鳥・その二
- 親:景行天皇 〈御父上の景行天皇は、おん年百三十七でおかくれになりました。〉
- 子:仲哀天皇 〈命には、お子さまが男のお子ばかり六人おいでになりました。その中の、帯中津日子命とおっしゃる方は、後にお祖父上の天皇のおつぎの成務天皇のおあとをお継ぎになりました。〉
- 従者:弟橘媛 〈そのとき命がおつれになっていたお召使の弟橘媛は、〉
- おじ・おば:倭媛 〈そして途中で伊勢のお宮におまいりになって、おんおば上の倭媛に再度のお別れをなさいました。〉
- 相模の国造と敵対 〈するとそこの国造が、命をお殺し申そうとたくらんで、〉
- 足柄山の坂の神と敵対 〈命は、それをご覧になると、お食べ残しのにらの切はしをお取りになって、そのしかをめがけてお投げつけになりました。〉
- 東国造になった老人との関わり(老人を東国造に任命した。) 〈命はその答えの歌をおほめになって、そのごほうびに、老人を東国造という役におつけになりました。〉
- 伊吹山の山の神と敵対 〈それを命があんなにけいべつして広言をお吐きになったので、山の神はひどく怒って、たちまち毒気を含んだひょうを降らして、命をおいじめ申したのでした。〉
- 従者:七拳脛 〈命が諸方を征伐しておまわりになる間は、七拳脛という者が、いつもご料理番としてお供について行きました。〉
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『古事記物語』の原文から抽出。Made with Rho MD。